モノ売りではなくコト売り、「体験価値を売る」とは?

モノ売りではなくコト売り、「体験価値を売る」とは?

こんにちは、BRMz共同代表、中小企業診断士の下司です。

早速ですが、「モノ売りではなくコト売り」という言葉を耳にしたことはありますでしょうか?

「モノ」はその言葉の通り、皆さんがお客様に販売している製品やサービスを指します。一方で、「コト」というのはその製品やサービスを購入したことで得られる体験価値のことを言います。つまり、「モノ売りではなくコト売り」は、「製品やサービスを売るのではなく、体験価値を売れ」ということを意味します。

体験価値というのは抽象的で分かりにくいかもしれません。そこで、この記事では具体例を交えて「コト売り」とはどういうことか解説します。体験価値の概念を理解できると、他社とはひと味違う商品やサービス、顧客への提案ができるようになるはずです。

●モノの価値が低下する日本

昔の家庭では、十分なモノを買う余裕がなかったため、モノそのものに価値を感じていました。「お金をためて、テレビや車を買おう」とモノを所有することが1つのステータスだったわけです。

しかし、今の日本は身の回りにモノが溢れています。テレビや冷蔵庫や日用品など手に入らないものはなく、ほとんどの家庭が所有していると思います。そうなるとモノを所有する価値が必然的に低下していき、モノを購入する機会が減少していきます。

消費者がモノを購入しない、これは売る側にとっては深刻な問題です。圧倒的に差別化された製品やサービスであれば別ですが、コモディティな製品の場合は、競合他社との競争が激化し、企業の体力を奪っていきます。

●消費者は「コト=体験価値」にお金を払ってくれる

消費者がモノを購入してくれなくなったのは前述のとおりです。

では、消費者は何にお金を使っているのか。それは、「体験価値」です。InstagramなどのSNSが広まり、「リア充」という言葉が生まれましたが、消費者は生活の1シーンをいかに充実したものにするか、ということに価値を感じるようになってきました。

「体験価値を売る」ということについて簡単な例を挙げます。

例えば、ある人がキャンプ道具を買ったとします。なぜその人はキャンプ道具を買ったのでしょうか。キャンプ道具が魅力的だったからでしょうか。いいえ、その人はキャンプ道具自体(=モノ)に魅力は感じたわけではなく、家族や友達と雄大な自然の中で過ごすキャンピングの1シーン(=体験価値)に魅力を感じたのです。つまり、その人は、キャンプ道具にお金を払ったわけではなく、キャンプ道具を使って体験できる価値にお金を払ったと言えるのです。

●コト売りの成功事例といえばタニタ

タニタと言えば、タニタ食堂が有名ですよね。もともとは、タニタは体重計や体温計などの「健康を測る装置(=モノ)」を販売しているモノ売りの会社でした。

しかし、今ではタニタは「健康をつくる」という体験価値の提供という方向に舵を切っています。「健康をつくる」という観点では、食事や運動など様々な切り口がありますよね。実際に、食事面ではタニタ食堂というサービスを始めていますし、運動面では専用のアプリも提供しています。もちろん体重計や体温計などの従来の製品も販売していますが、あくまで「健康をつくる」の体験価値を提供する中で従来の製品が売れていくというビジネスモデルになっているとうかがえます。タニタは、コト売りの視点を取り入れたことで、健康器具を売る会社(モノ売りの会社)が、消費者へ健康価値を提供する健康の総合プロデューサーのような会社に生まれ変わったと言えます。タニタのホームページに「健康のつくりかた」というタブがあるのがとても印象的です。(https://www.tanita.co.jp/health/

●徹底的な自社理解と顧客視点がコト売りの第一歩

「コト売り」のイメージを掴んでもらえたでしょうか。コト売りを始めるには、まず自社が提供できる体験価値は何なのかを把握しなければなりません。それには、自社の製品やサービスを理解し、なぜお客様は自社の製品やサービスを買ってくれているのか徹底的に深掘る必要があります。コト売りを考える際には、モノに焦点を当ててはいけません。お客様がどんな場所でどんな風にどんなシチュエーションで使っているのか、そのシーンを想像してください。すると、お客様がどんな体験価値を求めているのか理解することができるはずです。

これらを進める際には第三者の視点を入れることも有効です。複業集団BRMzでは、多様な業界・業種の出身者が、企業分析やマーケティングの戦略立案から実行までお手伝いいたします。全員が経営全般を体系的に学んだ中小企業診断士であり、企業で培ったスキルや経験を事業者の皆様のご支援に活かしています。

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